スコア・スクローラー
Score Scroller (2006)
これは,演奏家に楽譜をどのように提示するか,という問題についての新しい提案である。この箱では,楽譜の断片が7列のロール紙に書かれ,内部にセットされる。箱には,42個の小窓があり,そこから楽譜の断片が見えるという仕組みになっている。ハンドルをまわすことによって箱の中のロール紙が回転し,小窓から見える楽譜の断片が動く。そのため,演奏者が見ることの出来る楽譜は常に変化する。
特徴:
1. 箱の両面に窓がついている。作曲者は,演奏者人数,楽譜の読み方に関するルールを自分で設定することができる。
2.
7列のロール紙がすべて異なる速度で動く。
3. ハンドルを回す人は,回転速度を調節することができる。
4.
箱の両面の窓から上下が逆に見えるため,音型はお互いに「反行型の逆行型」になる。
使い方の可能性:
1.
この箱を用いて演奏することを想定した作品を新たに作曲する(図形楽譜や指示楽譜による作品作りも可能)。
2.
既存の作品の楽譜の断片を,ハサミとノリを用いてセットアップする。
外から見たところ
窓部分のアップ
内部構造
この箱のためにはじめに作曲された作品「one day closer to paradise」は、2006年11月30日、オランダ国立美術館にて初演された。
初演メンバー:
Trumpet:Brad Henkel
Vibraphone:Sam Sowyrda
Guitar:Keane Bhatt
Violoncello:Harald Austbo
Recorder:Miako Klein
Voice:Marjon Ittner
Conductor:Daisuke Terauchi
初演の風景(オランダ国立美術館にて)
「One day closer to paradise」初演時の映像はこちら
初演後まもなく、第2作目「桜」が発表された。
前作、「One day closer to paradise」を踏襲しつつ、いくつかのルールを新たに付け加えた作品となっている。
「桜」初演時の映像はこちら
2010年、アサヒ・アートスクエアが企画したAsahi Art Square Grow up!! Artist Project 2010の支援を受け、スコア・スクローラーのための作品を3作品制作しました。
そのうちの1作、「ことばの遊び」のインストラクションが、こちらに公開されています。