クーラーとの会話


暑い暑い夏が始まった。特に今年の夏は、蚊も参ってしまうような暑さらしい。
夏と言うより地獄と言った方が良いのでないだろか。

暑い暑い暑い暑い…そう言いながら私は家に帰って来る。ドアを開けると中からこもった熱風が私を「おかえり」と包み込んでくれる。良いってそういうの、暑い暑い暑い…

私は部屋に入っても暑い暑いと口癖のように連呼しながら、まずはクーラーを入れる。そうして私の部屋はやっと涼しくなる。ところがこのクーラー、壊れかけている。時間が経たないと涼しくならない。

「クーラー頑張れー。力振りしぼれー」と私が言うと、それに「いやいや、僕も頑張ってるんですよ」と返すようにコポコポ…と水の音がする。私が「頑張れ」と声をかけるごとに水の音も大きくなっている気がする。

それ、もう寿命なんじゃない?と私の部屋に来た人には言われるが、どうしても私はまだこのクーラーとの会話をやめる気は起こらない。