要旨

 演奏会が他者への音楽表現を目的とした場であることに象徴されるように、通常、音楽作品は他者に聴かれることを前提として作られている。しかし、一方では、一人で演奏を楽しむ場合のように、他者に聴かれることを意図しない音楽表現が存在する。音を発する行為と自らが発した音を聴く行為とを楽しむという姿勢を意識化し、その方法を拡張・発展させることによって、他者に聴かれることを意図しない音楽を作品として成立させることができる。
 本稿では、他者に聴かれることを意図しない音楽が作品となり得ること、そのような作品と日常における音楽的営みとは相互に関わっていることなどを、『耳の音楽』(2003)、『内と外』(2007)、『くちづけ口琴』(2007)という、著者の3作品によって例証していく。そして、「他者に聴かれることを意図しない音楽」を意識し、追求することによってもたらされる、日常における音楽的営みへの関心の向上や、人と音楽との関わりの豊かさなどについて考察していく。


キーワード:音楽表現、即興演奏、音楽教育、音楽療法、口琴

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他者に聴かれることを意図しない音楽とその可能性
       〜寺内大輔の3作品による例証と考察

The Music not intended to be listened to by others and its potential:
An examination of three pieces by D
aisuke Terauchi

2008年11月 日本音楽表現学会発行「音楽表現学 Vol.6」

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